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"コーチング・ビジネス" にご注意ください!

2025.06.12.

ここ15年ほどで「コーチング」という言葉が急速に広まり、街中には自称コーチや専門家があふれるようになりました。もともとコーチングの要諦は、コミュニケーション論やリーダーシップ論、動機づけ論などに含まれていたものであり、新しい理論ではありません。しかし1980年代に欧米で体系化され、日本に商業的に輸入されると、横文字好きなビジネスパーソンの関心を集めました。そして、上司と部下のコミュニケーションギャップが課題とされた時期とも重なり、大手教育研修会社による導入が進んでいきました。

その後、働き方改革やコロナ禍によるテレワークの普及、さらには個人事業主化の流れが進む中で、コーチングは「個の時代」を象徴するスキルとして一気に市民権を得ます。しかしその一方で、コーチ資格のビジネス化や、これに絡んだ情報商材化が進み、数十万円から数百万円に及ぶ講座費用を投じる人が増えました。こうして「資格を取れば稼げる」「独立できる」といった幻想が広まり、結果的に多くの人が経済的にも心理的にも疲弊していきました。中には1980~2000年代に横行したシステム販売(ねずみ講)ビジネスに酷似したビジネスモデルも多く、個人起業を目指す人々、特に情報弱者層が巧妙に“カモ”として狙われている実情があります。

現在、コーチングを取り巻くビジネスは巨大な市場となっています。2024年時点で世界のコーチング市場は約14億2,000万米ドル(約2,140億円)と評価され、日本国内でも2020年に約300億円規模に達しました。2015年の約50億円からわずか4年で6倍に成長しており、今なお拡大を続けています。まさに「儲かる市場」としての側面が強まっているのです。それは暴利を貪る市場かも知れません。

こうした流れの中で、企業の教育担当者も「トレンドだから」と反射的にコーチング研修を導入しがちです。しかし、形式的な導入では会社が本来狙う成果を上げられないケースも多く見られます。コーチングはあくまで手段であり、目的ではありません。スキルの習得ばかりに偏ると、社員も組織も方向性を見失い、形だけの教育に陥る危険があります。

本来のコーチングは、相手の成長を支援するための対話技法であり、その土台には「正しい価値観の共有」が不可欠です。正しい価値観の教育が疎かになって、対話技法ばかりに焦点を当てた結果、隠れたコミュニケーションギャップが深刻化し、結果離職率が更に増大することにも繋がっています。華やかなカタカナ言葉や儲け主義的な資格に惑わされないようご注意ください。

ビジネスコーチを目指す皆さま。その資格だけで食べていけるほど、世の中は甘くありません。コーチング研修を企画されようとしている企業のご担当者さま。それにかける費用と同等以上の投資を、同時進行で「価値観(ビジネス・マネジメント・人生)」教育に施さないと、大きな落とし穴に陥ります。いずれもさまもご注意ください。

以上

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